【棗(ナツメ)の品種一覧 苗木の種類】

棗(ナツメ)の品種一覧

棗(ナツメ)の木と果実
筆者育成の日本ナツメ

棗(ナツメ)とは中国や朝鮮で漢方薬として栽培が盛んな果樹です。日本では渡来人とともに苗木が輸入され、昭和の時代に民家の軒先で栽培され子どもがおやつがわりに摘み取って食べていました。日本ではナツメを家庭で食べる習慣は農業の衰退とともにすっかり途絶えてしまいましたが栄養豊富なスーパーフードのひとつです。ナツメを砂糖漬けにして作られた朝鮮料理のテチュチャという飲み物は疲れが癒されるほどたいへんおいしい飲み物です。今は中国の新疆棗が高級とされ日本にも輸入されています。

日本のナツメ

日本のナツメは実が小さく一指し指サイズものや、「大実ナツメ」といって市販されているものではもうすこし大きい実のなる苗木があります。中国原産です。

  • ナツメ・・・木はまっすぐ上に伸びて樹高は高くなります。自己受粉しますが1品種のみの場合は受粉率が高くありません。結実まで3〜5年かかります。  楽天 Amazon

中国のナツメ

棗

中国のナツメは品種改良でピンポン玉くらいの大きなサイズのナツメが高級なものとして新疆の砂漠地帯で栽培されています。このことから新疆大棗などの品種は日本の冷涼地(本州の高地や北海道)が栽培に適しているものと考えることができます。無核の品種もありますが、種子である酸棗仁は漢方薬として利用されています。
  • 皇帝・・・重さ30g〜50g、糖度20〜25度になるナツメ。
  • スーパージャイアント・・・別名大雪ナツメ(中国語では大雪枣)。中国において高品質で希少性があり、大玉の棗です。炭疽病に対する抵抗性は中国において強くないとのことです。山東省が産地です。土壌適応性高く干ばつに強く砂漠でも植えられます。柔らかくさわやかな香りがします。収穫時期は中国では10月下旬〜11月上旬です。ビタミンCはリンゴの100倍です。品質は優れ貯蔵性非常に優れています。高い収率です。果実重は52g程度、可食部の歩合は97.3%です。糖度は35%程度で乾燥すると73.6%になります(百度百科から引用しました)。
  • 新疆大棗・・・新疆で栽培されている大棗の総称です。和田玉棗、哈密枣(ハミナツメ)、若羌枣など。高級品です。産地はハミ、ホータン、カシュガル、コルラです。果実重は11g〜16g程度です。糖度は33%程度で乾燥させると74.5%程度になります。樹高は18年目で5.2メートルになります。経済寿命が長く20歳程度で30kg、100歳で200kgの収量になります(百度百科から引用しました)。
ほかには冬恋棗なんて品種もあるようです。冬棗は山東省 、 河北省 、 天津が産地で結実から収穫まで120日を要する晩生で収穫時期は中国において10月の中旬です。黄骅冬枣や无棣冬枣、乐陵冬枣などとして知られています。スーパージャイアント(大雪枣)や把成武冬枣や薛城冬枣、驴奶头枣、长条枣も冬棗に含めるかどうかは議論があるようです。

ハミナツメはビタミンCが100g中215mgあります。糖度は37%以上に達し乾燥させると70%になります。中国本土のナツメよりも栄養豊富で特に亜鉛が高く知性を向上させる効能ありとのことです(単純に糖が脳のエネルギーになるという意味でしょう)。ハミナツメの若羌枣はモンゴル自治州原産で生産性は中程度で和田玉ナツメより良いとされています。同じくハミナツメの和田ナツメは豊産性です。

あとは国光棗(本当の品種名は国光大枣)、新疆大棗、無核大金絲という苗木が日本国内でで売られているようですが、詳細はわかりません。

  • 国光棗・・・1粒重30g〜50gで最大98gです。風味はさわやかで甘酸っぱくジューシーでおいしいです。糖度は25%で酸度は0.44%程度です。収穫期は中国において9月か10月の終わりまでで、熟期は中晩生であると思われます。高収率で裂果に対し非常に強いです。
  • 無核大金絲棗・・・国華園の説明によると、最高糖度が42.1度になります。風味はジューシーで濃厚できめ細やかで生食可能です。肝心の1粒重はわかりませんでした。
  • 新疆棗王・・・詳細はわかりませんでしたが、日本で苗木が販売されています。

インドナツメ

インドナツメは熱帯から亜熱帯で栽培可能な大きな実のなるナツメです。沖縄県でも栽培されています。

棗(ナツメ)の木の特徴

日本ナツメの木の外観はオリーブとよく似ています。木には細かいトゲがあります。ナツメは7月に7mmほどの小さな花を咲かせます。8月上旬には3cmほどの果実を実らせ収穫時期は9月から10月にかけてです。

棗(ナツメ)の薬効と栄養

棗の乾燥果実

棗(ナツメ)は古くから中国と朝鮮で生薬として利用されてきました。大きな実がなるナツメを大棗(たいそう)といい、小さな実がなるナツメは勺棗(しゃくそう)として区別しています。棗の実を蒸して乾燥して保存します。

ナツメはカリウムが特に多く、20gでバナナ1本分のカリウムが含まれています。ですので腎臓の悪い人は食べすぎないようにしたほうがよいでしょう。このカリウムの多さが高血圧に効くといわれる根拠になっているかもしれません。

中国の百度百科にはナツメの効能は「心血管疾患、抗アレルギー、抗腫瘍、肝臓の解毒、栄養で美しさの治療、免疫力を高め、鎮静。糖尿病の人は食べてはいけません」と書かれていました(ほんとうかどうか知りません)。

・・・・・・もしかしたら栄養に含まれない成分に薬効があるのかもしれませんね。

ナツメとデーツの違い

デーツの木(ナツメヤシ)

デーツはインド中東から北アフリカにかけて栽培されている果樹で「ナツメヤシ」といい外見はヤシの木に似ています。ナツメの実が熟すまで2〜3か月なのに対し、デーツは6か月もかかります。デーツはイスラム教にとって重要な果実です。筆者が干されたデーツを食べてみたところ、干し柿のように甘くねっとりしていて高カロリーです。樹液はデーツシロップに利用されます。ナツメとデーツはまったく種類の異なる果樹です。
デーツはねっとりしていておいしいですよ!

棗のドワーフ栽培

中国ではナツメの木を密植しドワーフ栽培しています。

ナツメの通販のご案内

ナツメの木は収穫まで3年から5年かかり、まともに収穫できるまでにはもっと時間がかかります。栽培が面倒な方には既製品の乾燥ナツメをおすすめします。
日本で栽培可能なナツメの木の品種については以上になります。

2017年8月10日執筆。

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