【実梅(食用梅)の種類・品種の特徴一覧】

趣味が高じて収集した品種名と特徴をリストアップしました。

実梅
実梅(趣味栽培、有機栽培)

実梅の種類 品種一覧

実梅(食用梅)の品種を調べているうちに手元にたまったメモを公開しました。実梅は意外と品種についての情報が少なく、あまり人気がないのかなと。梅も開花時期を合わせないとうまく受粉できませんので、栽培に必要な情報を収集しました。あくまで趣味栽培用のデータですので、生活がかかっておられる農業の方はこのページの情報を信じずに専門書や専門家にお尋ねください。

小粒品種

小梅は花粉多く受粉樹に適します。ほとんどが梅干し用に加工され、食べきりサイズでおいしいです。小粒の梅は梅酒にしても濃厚なお酒が出来上がります。おすすめの小梅は収穫時期が早い品種です。

  • 小粒南高・・・小梅生産量2位の小梅。16g~25gと小粒という名前の割に大きい。品質は南高と同じといわれる。花粉が豊富で受粉樹に適する。満開は筆者の栽培地(中間地)において毎年3月20日頃であったが過去にない暖冬の2020年は2月16日に満開を迎えた。R
  • 竜峡小梅・・・果肉歩合88%。果実重3g~4g。耐寒性弱く病害虫に弱い。ヤニ果少。小梅生産量1位の小梅。収穫期は6月上旬。R
  • 甲州小梅・・・4g~6g。収穫期は6月上旬。自家受粉性高く受粉樹に適する。R
  • 光陽・・・福岡県の代表品種。R
  • 前沢小梅・・・長野県で育種された品種。成熟すると8gとなる。 開花は竜峡小梅と同時期。1987年登録。竜狭小梅より4~5日収穫期が早い極早生種。核の大きさは0.7g程度。胴枯病と枝枯病などに強い。耐寒性があり標高高くても栽培可能。
  • 七折小梅・・・日本一の小梅の産地、愛媛県伊予郡砥部町で栽培され透明感のある黄色で香りあり果皮柔らかく種小さく品質が高い。
  • 大栗小梅・・・群馬県の代表品種。長野県で作出され1986年登録。竜峡小梅の枝替わり。自家和合性30%以上で豊産性。開花時期は早く長野県で3月10日ごろで花は4月第一週まで咲き続ける。果実重は4g~5gで竜峡小梅より1g大きい。果肉歩合は88%以上。酸味多く渋み苦味僅か。収穫期はカリカリ梅が5月下旬から6月上旬、梅干しは6月中旬から下旬でこの頃には10gになる。黒星病にはやや強いが変葉病にはやや弱い。浅根性で干ばつや水害に弱い。花香実を混植すると結実安定する。
  • 吉村小梅・・・長野県で育種。3.7g。果肉歩合77%。生理落果やや多い。
  • 織姫・・・群馬県の代表品種。酸度は4%~5%。5月下旬から収穫。1粒4g~5g程。耐病性あり豊産性。
  • 甲州黄熟・・・奈良県。5g。梅干し用。受粉樹に適する。
  • 甲州深紅・・・関東・中部地方。花びらはほぼ白色。1粒5g程度。受粉樹に適する。
  • 信濃小梅・・・長野県。5月中旬収穫。1粒4g程度。梅干し用。下伊那地方原産。R
  • 宮口小梅・・・5g~7g。静岡県西部産地。日焼けおきやすい。排水が悪いとよくない。梅干し用。風味よし。5月下旬収穫。花びらは白。
  • 室屋・・・北陸が産地。花びらは白。梅干しに適する。6月中下旬収穫。稲積と藤の梅と同一品種の可能性。

中粒品種

お弁当サイズの梅干しにぴったりな中粒の梅の品種リストです。梅は大粒品種よりも中粒品種のようが食べきりサイズで塩分を気にされる方にはおすすめだと思います。高品質な梅を得るためにはなるべく収穫時期が早い梅をおすすめします。

  • 玉織姫・・・群馬県の代表品種。1990年登録。自家結実性65%。毎年安定して実る。白加賀とは開花期が異なるため受粉相性にできない。果実重10g~15g。果皮淡緑色で陽光面は少し着色する。果肉の厚さはやや薄い。種はほかの小梅と比べるとやや大きい。
  • 八郎(PVP)・・・15g~20g。酸は4.5%~5%。果肉歩合は加賀地蔵に劣る。花粉多い。自家結実性で豊産性。黒星病に弱い。ヤニ果発生中。南高よりも1週間早く収穫され収穫期は6月20。R
  • ユージャク(PVP)・・・15g。花粉がないので受粉相手が必要。日頃。樹勢が衰えると小玉化する。2000年登録。
  • 越の梅・・・20g。梅干し用。新潟が産地。花びらはほぼ白。寒冷地に向く。R
  • 白玉梅・・・15g~20g。多摩川流域原産。花びらは白い円形で離れている。6月上旬収穫。梅干し・梅酒兼用。和歌山の白玉梅とは別品種。
  • 難波(難波、なにわ)・・・20g~25g。梅干し用。風味よい。6月中旬収穫。花びら白色。
  • 南紅(なんこう、manhong)・・・南京市原産。15g~20g。6月中旬。梅菓子に向く。果実鮮やかな紅色。花びらはほぼ白(かすかに桃)。丸子梅園で導入される。
  • 福島青・・・23g。6月下旬収穫。福島県が産地。梅酒・梅干し兼用。凍害に強い可能性。花びら白色。
  • 藤枝単紅梅・・・20g~25g。静岡県中西部地方産地。花びら桃色。梅干し用。陽光面は紅色に着色。
  • 持田白・・・東京都青梅市産地。28g。6月中旬収穫。梅干し用。梅の果皮に産毛が多く生じるため梅酒には適さない。
  • 薬師(やくし)・・・和歌山県が産地。20g~25g。花びら白色。6月中旬収穫。梅酒・梅干し兼用。
  • 養青(ようせい)・・・和歌山県が産地。25g~28g。花びらは淡い桃色。花粉多く受粉樹にも適する。
  • 養老・・・群馬県が産地。25g。梅干し・梅酒兼用。花びらは淡い桃色。乾燥地でヤニ果が多発する。抵抗性は弱い。

中大粒品種

梅酒用にどの梅の品種を使えばいいのか?実際に梅酒づくりに用いらているかどうかについても調べてみました。ちょっと大きめで、扱いやすい梅のサイズです。


  • 南高・・・酒色が濃く芳醇な梅酒になります。25g程度。自家不和合。梅酒に適した品種。ヤニ果発生なし~微。国内生産量は年間5千トンで大半を占める。収穫期は6月中下旬。日光が当たるとほんのりと赤く着色する。花びら白色。R
  • 鶯宿・・・自家不和合。奈良県の代表品種。梅酒のほかカリカリ梅にもよい。豊産だがヤニ果多。収穫期は6月上中旬。花びらは白色。1粒重は27g程度。徳島県も産地。R
  • 青軸・・・自家結実性あり。約25g。梅酒にも適する。原種系。収穫期は6月上旬から。全国で栽培される。花びらは白色。R
  • 玉英・・・梅酒にも使われる。自家不和合。花粉少。福岡県の主力品種。ヤニ果少。ヤニ果でる傾向にある。豊産性。収穫期は6月中旬。梅酒。梅干し兼用。花びらは白色。R
  • 古城・・・酒色は普通でマイルドな梅酒になります。梅酒に適した品種。梅干し兼用。ヤニ果やや少。収穫期は6月中旬。和歌山など全国で栽培される。25g~30g。花びら白色。R
  • 白加賀・・・酒色は薄くさっぱりとした梅酒になります。25g~20g。酸度は5%~6%。自家不和合。花粉少。奈良県と茨城県の代表品種。全国で栽培される。花粉なし。ヤニ果率やや高い。生理落果もやや多い。収穫期は6月中下旬。R
  • 剣先・・・福井県の代表品種。青みが強い。30g。梅干し用。6月上中旬。乾燥地にも適する。
  • 豊後・・・フルーティーな梅酒になります。自家不和合。40g~50g。ヤニ果少しあり。収穫期は6月下旬。大分県のほか、全国で栽培される。花びらは白色。R
  • パープルクィーン・・・赤紫色の梅です。フルーティーなピンクの梅酒ができます。
  • 露茜・・・果重70g。赤色の梅酒ができます。自家不和合。酸は4%と少ない。樹勢弱い。開張性。梅干しには適さないR
  • 翠香・・・ヤニ果の発生があるので梅干しには適さないR
  • 改良内田・・・和歌山県の主力品種。病害虫に強く豊産性。20g~28g。収穫期は5月下旬から。梅酒・梅干し兼用。花びら白で重なる。
  • 稲積(いなづみ)・・・北陸地方。1粒は23g程度。花びらは6~7枚ある。梅干しに適する。収穫期は6月中旬から。花は白色。R
  • 庵原(いはら)・・・静岡県中部。1粒は28g程度。花は薄桃色。梅干・梅酒兼用。6月中旬から収穫。
  • 隠居・・・京都府。奈良県。35g程度。梅酒・梅干兼用。花びらはごくごく薄い桃(ほとんど白に見える)。収穫期は6月中旬から下旬。花びらと花びらに隙間があり、芸術性あり。
  • 岡部・・・静岡県中部。1粒は18g程度。6月上旬から収穫。梅酒・梅干し兼用。花びらは白く円形。
  • 川上梅・・・東京都青梅市。1粒30g程度。収穫期は6月上旬から。梅酒・梅干し兼用。花びらは白。
  • 城州白・・・京都府。1粒30g程度。6月下旬収穫。梅干し用。豊産性。
  • 杉田・・・花びら6枚のしわ。30g。梅干しに向く。神奈川県が産地。
  • 鈴木青・・・6月中旬収穫。梅干し用。東京都青梅市が産地。花びら白。
  • 太平・・・35g。6月下旬。梅酒用。群馬県が主産地。鈴木白と同一品種。
  • 甜香(てんこう)・・・35g。南京市産。花びら白。果実は紅が差す。丸子梅園に導入。梅酒・梅菓子用。6月中旬収穫。
  • 長束(なつか)・・・27g。愛知県産。豊産性。黒星病にやや弱い。花びら白色。
  • 吉郎兵衛(きろべぇ)・・・京都府。奈良35g。6月中旬。梅干し用。
  • 紅加賀・・・28g。北陸が産地。梅酒・梅ジャムなど。6月下旬収穫。花びらはごくごく薄い桃(ほとんど白)。
  • 新平太夫(しんへいだゆう)・・・14~30g黒点病に強い。熟期は6月中下旬~7月上旬。芳香あり。1986年登録。福井県の品種で2004年育成権消失。南高の枝変わりで豊産性で自己結実性高い(79%)。
  • 稲積梅・・・富山県で広く栽培されている梅。梅干し梅酒兼用。稲積梅の苗木はこちら

梅酒は青梅か完熟梅か?

青梅で梅酒をつくると酸味が強い梅酒になり、完熟梅で梅酒を作ると果肉が溶出して芳醇で香り高く濁った梅酒ができます。まず青梅と完熟梅を別々に作って、後でふたつをブレンドしても面白そうですね。

特大粒品種

大きな実になる梅の品種を集めました。筆者も以前は大きな梅を作ってみたいと大粒梅の品種にあこがれたものでしたが、実用性を考えると中粒品種が一番便利だとわかりました。晩生に品種ほどアブラムシの害を受けやすいです。


  • ジャンボ高田・・・福島県の代表品種。ペーストやジャムなど果肉を加工する用途に適する。R
  • 高田梅・・・福島県と茨城県の代表品種。60g~10g、ときに100gも。凍害を受けやすいので生産は安定しません。ジャンボ高田のことか?胴枯れ病に弱い。
  • 紅さし・・・最大40g(20g~33g)。酸度低い。福井県の梅。自家結実性あり。果肉歩合が最も高い。酸っぱさ控えめの梅干し用に適する。南高よりも軟化しやすい。ヤニ果中。収穫期は6月下旬。黒星病に弱い。R
  • 福太夫・・・大きいもので33g(13~29g)。ヤニ果少ない。新品種。果肉歩合が紅さしにせまる93%。おすすめです。黒点病に強いがかいよう病に弱い。平成17年登録の比較的新しい福井県の品種。
  • 十郎・・・小田原の代表品種。ヤニ果微。収穫期は6月末。
  • 梅郷・・・神奈川県と群馬県の代表品種。ヤニ果微。収穫期は6月下旬。25g~30g。白加賀と玉英の受粉樹に適する。花びら白色。
  • 紅映・・・福井県の代表品種
  • 林州・・・奈良県の代表品種
  • 新平太夫・・・福井県の導入新品種。果実重20g~25g。
  • 信州豊後・・・50g。耐寒性あり。梅酒にも適する。
  • 月世界・・・ヤニ果発生率はダントツ。花びらはピンク色。徳島県。豊産性。27g。6月中旬。
  • 藤吾郎・・・新潟原産。梅干しや梅酒に適する。30g。ヤニ果中~高。収穫期は6月中下旬。受粉樹が必要で豊産性。日焼けする。花びらはごくごく薄いピンク(ほとんど白)。
  • 加賀地蔵・・・25g~30g。酸含有量4.5%~5.6%で南高と同程度。自家不和合。花粉極めて少。生理落果少~中。ヤニ果少。黒星病に弱い。2000年登録。樹勢は中で開張性。南高より1週間後に開花する。白加賀より1週刊早く開花する。白加賀×地蔵梅の交雑。R
  • 花香実・・・ピンクの花を咲かせる梅。受粉樹になる。花びら桃で八重。30g。後水尾天皇「花も香もよく果実も佳なり。」R
  • 紅の舞・・・群馬県の新品種。40g。スモモ筑波2号×鶯宿。果皮・果肉ともに赤い。
  • 李梅・・・和歌山県が産地。花びら白色。果実に紅が差す。50g~60g。6月中下旬収穫。梅ジュース、梅ジャムに適する。
  • 西洋梅・・・青森県付近が産地。40g~50g。6月中下旬収穫。梅干しなどに向く。花びらはごく淡いピンク色。
  • 美人梅(Meiren Meiメイアン・メイ)・・・フランスで作出される。50g~60g。加工用。花びら濃いピンクで八重。収穫期は6月中下旬。果実鮮やかな紅色でスモモのようだ。-20度に耐える。丸子梅園に南京から導入。
  • 八重豊後・・・淡い桃色の花で八重。45g。ジャムなど。6月中旬収穫。

ウメの品種図鑑
(参考書籍、花梅の種類が圧倒的図鑑。)
※ヤニ果が発生した梅はC級品、虫害があると規格外となります。

実梅の栽培レビュー

実際にいくつかの実梅を栽培してみると、実梅はバラ科の果樹(桃)の跡地では根付かず枯れやすいのではないかと疑念を持たされました。そして実梅の収穫時期についてですが、可能な限り早くに肥大し収穫できる品種が病害虫の影響を受けにくいと実感しています。

参考ページ

福井県 梅の品種
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/021037/engeisinkou/ume.html
更新履歴
2016年12月13日:私の栽培した梅の写真を追加しました。

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